「ダイヤモンド=資産」は幻想?──愛の輝きに潜む“資産価値ゼロ”の真実

投資・資産形成

結婚指輪といえば「ダイヤモンド」。

キラキラと美しく輝くその石に、
「永遠の愛を込めて」──なんて、誰もが一度は憧れたことがあるはずです。

実は私もその一人でした。

◆体験談:私も“ダイヤの呪縛”にとらわれていました

当時、何の疑いもなく、

「婚約指輪といえば、やっぱりダイヤでしょ」
と考えていました。

正直、資産価値なんて1ミリも意識しておらず、
「愛の証=ダイヤ」くらいのイメージしかなかったんです。

でも、投資や資産形成について学んでいく中で、だんだんこう思うようになりました。

あれ…ダイヤって、全然資産にならないのでは?

今では妻にも

「ダイヤはやめておけ。次はゴールドかシルバーにしてくれ」
と冗談交じりに話しています。

そんな体験もあって、「ダイヤ=資産価値がある」という思い込みに、冷静な目を向けてみようと思ったのがこの記事です。


1. 金や銀とは違い、「時価」が存在しない

金や銀は、世界の金融市場でリアルタイムに価格が決まっています。
価格は明瞭、流動性も高く、まさに「資産」と呼ぶにふさわしい存在です。

でも、ダイヤモンドは──

  • 同じカラットでも、カット・透明度・色味で価値がバラバラ
  • 世界で統一された取引市場が存在しない
  • 明確な「時価」がないため、売買価格に大きなブレがある

つまり、売りたくても「適正価格で買ってくれる人」がいないという現実。

これでは「資産」どころか、換金性の低い贈答品に過ぎません。


2. 「希少性」は幻想?──デ・ビアス社が作った“神話”

ダイヤモンドの価値って、どこから来たんでしょう?

それを紐解くと、たどり着くのは デ・ビアス社 という企業。
20世紀初頭、この会社がダイヤ市場を独占し、採掘から販売までを牛耳っていたんです。

そして、やったことはシンプル。

「供給を絞って価格を維持する」+「広告で“愛の象徴”を演出する」

この戦略により──

  • 「ダイヤモンド=永遠の愛」
  • 「婚約指輪にはダイヤを」

というイメージが、世界中に定着していきました。

でもよく考えてみてください。

それって“文化”じゃなくて、“企業戦略”の結果なんです。


3. インフレでも値上がりしない──むしろ値下がりしている現実

金も銀もプラチナも、インフレとともに価格が上昇してきました。
「実物資産はインフレに強い」というセオリーどおりです。

…なのに、ダイヤモンドだけがなぜか値下がりしている。

実際にあった話──

  • 100万円で買ったダイヤの指輪が、売ると10〜20万円になる
  • 状況によっては、買い手すら見つからない

これが意味するのはひとつ。

「資産としての役割を果たせない」ということ。


4. 人工ダイヤの台頭で「希少性」が完全に崩壊

最近では、ラボグロウン(人工)ダイヤの技術が急激に進化しています。
見た目も硬度も、本物のダイヤとほぼ同じ。

もはや、プロの鑑定士でも見分けがつかないレベルです。

人工ダイヤモンド、天然と見分けつかない中小企業の技術 宝石は5割安 - 日本経済新聞
人工ダイヤモンドの生産技術で宝飾業界から注目を集める中小企業がある。近年は天然ダイヤと見分けがつかないほど品質が改善。宝飾用の人工ダイヤの世界市場は2030年に約1兆7100億円と、24年の2.5倍になる見通しだ。工業用に比べ目立たない存在...

そして当然、人工ダイヤはどんどん作れます。

  • 希少性がない=価値の裏付けがない
  • 量産される=価格競争が起こる
  • 結果として「市場価値」が崩れていく

「永遠の輝き」は、もはや幻想かもしれません。


◆まとめ:「ダイヤモンドは“感情価値”であって、“資産価値”ではない」

もちろん、ダイヤモンドの美しさや、愛を込めた贈り物としての価値を否定するつもりはありません。
実際、私もダイヤを選びましたし、その思いに偽りはありませんでした。

でも今ならはっきり言えます。

ダイヤは“愛の証”ではあっても、“資産”ではない。

  • 金や銀のように価格の基準が存在しない
  • 「希少性」や「価値」は、企業による演出だった
  • 実際には、値下がりしやすく、換金性も低い
  • 人工ダイヤの台頭で「唯一無二」ではなくなった

感情と資産は別。
モノに思いを込めるのは素敵だけど、将来の価値を見誤ってはいけない。

そんな学びを、次に活かしたいですね。

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