2025年夏、東京都は全800万世帯を対象に、水道の「基本料金ゼロ」を実施します。
……一方で、さいたま市では水道料金の値上げが検討中。
これ、単なる光熱費の話ではありません。
同じ税金を払っていても──
「どこに住んでいるか」で、受け取れるリターンにこれだけ差が出てくる。
いよいよ、そんな時代に突入しています。
水道料金から見える“街の体力”
■ 東京都:「税金が還ってくる街」
東京都が打ち出したのは、2025年6〜9月の4か月間、水道基本料金を全世帯ゼロにするという前代未聞の施策。
背景にあるのは、圧倒的な財政力です。
- 法人本社・富裕層・現役世代が集中
- 昼も夜も人が集まる「稼げる都市」
- 税収が潤沢 → 住民サービスへ再投資可能
この「水道ゼロ円」は、まさに選挙対策のバラマキとも言われています。
たしかに政策としては好ましくない側面もある。
でも、それでもなお──
他県と比べて“損をしない”のが東京に住む強みなのです。
■ さいたま市:「じわじわ生活費が上がる街」
すぐ隣のさいたま市では、2024年時点で水道料金の値上げが検討されています。
- 日中は都内に通勤・通学 → 水道の使用量は伸び悩み
- 水道用水供給料金が約23%引き上げ
- 家庭の水道代は、月あたり**約7%増加**の試算
つまり、「人口が増えていても、街として自立していないと財政は苦しい」という現実が見えてきます。
税金は「支出」ではなく回収の観点も大事
毎月、何気なく払っている住民税・所得税・消費税。
でも、それがどう使われて、どれだけ自分たちに還ってきているか──
ちゃんと意識している人って、案外少ないかもしれません。
僕はこれを「税金の回収率」と呼んでいます。
▼ 例:水道料金から見る“税金の回収率”
指標 | さいたま市 | 東京都23区 |
---|---|---|
水道料金 | 値上げ検討中 | 基本料金ゼロ(夏季) |
昼間人口 | 都内へ流出 | 都内で完結 |
財政の自由度 | 制限あり | 柔軟な予算編成可能 |
子育て・福祉 | 制約多い | 手厚い助成・支援あり |
同じ税金を払っていても、こんなに差が出る。
これってもう、どこに住むかは「家賃」や「通勤距離」だけで選べる時代じゃないんですよね。
少子高齢化が“自治体の格差”を加速させる
これからの時代、街ごとの格差はもっと大きくなります。
- 若い世代が流出 → 税収が減る
- 高齢者比率が上昇 → 医療・福祉コストが増える
- インフラ更新費が足りない → 料金値上げやサービス削減
つまり、これから先の地方や郊外では
**「住民サービスの削減」か「負担増」**の二択を迫られる。
これは、さいたま市に限らず、全国の自治体で起きていく現象です。
表面的な住宅の価格差よりも実際の価格差は小さい
よく言われますよね。
**「東京は家賃が高い」**って。
でも、それって短期的な支出しか見ていない話。
東京で暮らすというのは、未来へのインフラ投資や行政リターンを先に買っているということでもあります。
- 子育て支援
- 防災体制
- 教育環境
- 医療アクセス
- 財政体力
こうした「見えにくい価値」が、10年後、20年後にじわじわ効いてくるんです。
✅ 最後に──「未来配当」を意識したい
たかが水道代。されど水道代。
たった数百円の話かもしれません。
でも、その背景には、街の体力・政策の質・未来の見通しがにじみ出ている。
そして、それはやがて
■ 教育
■ 老後
■ 災害時の安心
■ 税負担の重さ
……こうした「暮らしの根幹」に直結していきます。
あなたがいま選ぶ街は、
10年後のあなたや家族に、どんな“未来配当”を届けてくれるのか?
家を選ぶ。
街を選ぶ。
それは、単なる不動産選びじゃなく、
**人生と暮らしに対する“未来の投資判断”**なんです。