家を買うとき、多くの人は「地盤」、「ハザードマップ」や「日当たり」、「周辺環境」には気を配ります。
でも、「地下」のことまで気にする人は、まだ少数派です。
実はこれ、大きな落とし穴になりかねません。
地下にあるのに「説明義務がない」ものがある
都市部では、地下に高速道路のシールドトンネルや地下鉄、下水幹線などのインフラが通っていることがあります。
ですが──
これらは、売買時の重要事項説明書に記載されないことが多いんです。
法律上、地下のインフラが「土地の利用や安全性に直接影響を与える」ケースでなければ、明示の義務がないとされているからです。
つまり、
- 地上は静かで閑静な住宅地
- でも、実は地下に巨大トンネルが通っていた
- 地盤調査をしてみたら、地中に振動や空洞のリスクが…
なんてことが、「買ってから」わかる場合もあるのです。
🛑 実際に起きた「陥没事故」
2020年10月、東京都調布市の住宅街で、突然道路が陥没する事故が発生しました。
周囲ではその後も空洞が複数見つかり、地元住民に不安が広がりました。
現場の地下では、「東京外かく環状道路(外環道)」のトンネル掘削工事が進んでおり、有識者委員会はこの工事が原因だと結論づけました。
「自宅の下で、知らないうちに地下深くを掘られていた」
「静かな住宅街なのに、突如通行止めと避難指示が出た」
これは決して他人事ではありません。
住宅街の安全性や資産価値は、地下の状況にも左右される時代なのです。
(参考:NHKニュース:調布の陥没事故、有識者委がトンネル工事を原因と結論)
🏠 購入前にチェックすべきポイント
「そんなの自分じゃわからないよ」と思うかもしれませんが、事前にできる対策はあります。以下の項目を確認してみてください。
✅ 地下インフラの有無を調べる
- 国土地理院の地図閲覧サービス(地理院地図)
- 自治体の都市計画図
- 東京都なら「東京の地盤」や「外環道」のルート情報
→ 国土交通省:外環道ルート情報
✅ 地盤調査データを確認する
- 不動産会社に「地盤調査報告書」の開示を依頼
- 過去のボーリング調査結果なども参考にする
✅ 地下施設の影響を視認する
- 周囲に換気塔・非常口・緊急避難口がないか確認
- 近くにシールドトンネルの掘削工事看板がないかチェック
📉 資産価値への影響も
地下に大規模なインフラが通っていると、将来的にこんなリスクが出てきます。
- 地盤のゆるみや空洞化による建物への影響
- 買い手がつきにくくなる(特に中古売却時)
- 住宅ローン審査に影響するケースもある
つまり、安全性だけでなく資産価値の面でも損をする可能性があるということです。
📝 まとめ:見えないものこそ確認を
地盤や日当たりと違って、「地下インフラ」は目に見えません。
でも、だからこそ調べておくべきです。
- 重要事項説明には書かれない
- 調べればリスクを回避できる
- 誰も教えてくれないが、自分で守るしかない
家は人生で最大の買い物。
知らなかったでは済まされない時代に、しっかり備えておきましょう。