安全資産のはずの債券が、今あぶない?
「債券って、安全で地味な投資」というイメージを持つ方も多いかもしれません。
でも今、その“安全資産”がじわじわと、そして確実にストレスにさらされています。
日本の30年国債利回りが、約25年ぶりに3%に迫る水準に上昇。
これにより、債券価格は大きく下落しています。

その裏で、「絶対に損できない」機関投資家たちは、静かに債券市場から退いているのです。
機関投資家が動けない理由
金利が上がると、債券の価格は下がります。
とくに急激な金利上昇時は、こんな状況になりがちです:
- 債券の価値が下がって損が出る
- 含み損があると売れない
- 金利が読めず、新しくも買えない
損失が許されない保険会社や年金基金のような機関投資家にとって、今のような金利変動は大敵です。
彼らは「守り重視」なので、いったん動きを止めて様子見に入っています。
日銀が“最大の買い手”じゃなくなった
かつて国債の買い手として圧倒的だった日本銀行も、状況が変わりました。
- 国債の半分以上を保有することもあった
- 金利上昇を抑えるYCCで市場に安心感を与えていた
ところが、2024年のマイナス金利解除を機に方針転換。
2025年にはYCCの終了と購入縮小を進め、「市場の主役」から「傍観者」へ。
買い支えがなくなった今、市場にはこんな不安が広がっています:
「誰も買わないなら、もっと下がるかもしれない」
→ 買い手がいない → 債券が売れない → さらに下がる
こうして、“買い手不在”の静かな混乱が起きているのです。
では、個人投資家はどうすべきか?
難しい局面ですが、個人投資家がとれる戦略はあります。
1. 長期債は避け、短期債で守る
金利の影響を受けにくい「期間の短い債券」でリスクを抑えましょう。
- 満期1~3年の個人向け国債
- 短期債ETF(SHY、BILなど)
2. 一括購入は避けて、分散して買う
利回り3%は魅力的でも、「底」とは限りません。
時間を分けて買うことで、価格変動のリスクを減らせます。
3. 政策の動向を見守る
とくに注目すべきはこの2点:
- 日銀が再び買い手に戻るかどうか
- アメリカFRBの利下げタイミング
政策の変化が、市場の空気を一変させる可能性があります。
最後に:この静寂は“嵐の前”かもしれない
今、債券市場ではプロも動きを止めています。
最大の買い手だった日銀すら静観するなか、無理に動くのは危険です。
だからこそ、「守る」姿勢がもっとも大切。
焦らず、チャンスを待つ。
それが、いま個人投資家ができる最善の戦略かもしれません。