Googleマップで
「大宮〜新宿 32分」
「浦和〜新宿 26分」
……そんな表示を見ると、こう思ってしまいます。
「えっ、埼玉って意外と東京に近いじゃん?」
──でも、そのまま信じて引っ越すと、高確率で後悔します。
なぜなら、その数字は**“理想条件だけを詰め込んだシミュレーション”**に過ぎないからです。
本記事では、実際に埼玉へ移住した人が体感する“リアルな通勤事情”を紹介します。
1. 「本数が少ない」=次の電車が遠いという現実
都内のメトロや中央線に慣れている人が埼玉で最初に驚くのがこれ。
湘南新宿ラインは、通勤・通学のピーク時間帯である7時台などは10分に1本以上は来ますが、少しその時間帯を外れると15~30分に1本程度に減少します。
平日朝6時台の浦和駅発の湘南新宿ラインは6:07、6:43の2本のみ。
帰りの20時台は4本(4、19、35、48分発)で15分間隔程度。
つまり日中〜夜間にかけて「15〜30分に1本」しか来ないこともザラ。
Googleマップに出てくる「25分で着く電車」が、次に来るのは30分後かもしれません。
上野東京ラインも同様の傾向です。
「あの表示は、今すぐ乗れたらの話なんだ……」
と、駅で立ち尽くすことになるのです。
2. 長距離路線あるある:“遅延が日常”
湘南新宿ラインや上野東京ラインは、小田原や宇都宮・高崎など、長距離運行が特徴。
そのため…
- 車輌トラブル
- 体調不良者の救助
- 遠方の人身事故が波及
- 朝の遅れが夜まで回復しない
こんなことが、日常茶飯事です。
結果、「定刻どおりに着いたらラッキー」という状態。
いざという時に信頼できない路線では、通勤ストレスが溜まるのも無理はありません。
3. 「所要時間25分」に騙されるな
数字だけで比較すると、こんな誤解をしがちです。
- 「新宿〜浦和:25分」
- 「新宿〜国分寺(中央線):25分」
一見、同じように見えますが、体感はまったく別物。
比較項目 | 中央線・メトロ | 湘南新宿ラインなど |
---|---|---|
本数 | 数分おき | 20〜30分に1本 |
遅延頻度 | 少なめ | 多い(固定化も) |
読みやすさ | 安定 | 読みにくい |
実質所要時間 | 30分以内に収まる | 待ち+遅延で45〜60分も |
つまり「同じ25分」でも、前提がまったく違うのです。
ある調査によると上野東京ラインが接続している東海道線と湘南新宿ラインの遅延発生件数がJR東日本でトップになっています。運航本数が少ないのに遅延発生件数が多いです。遅延発生率は50%以上と言われています。
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出所:日経新聞「東阪の鉄道、遅延最多は東海道線 年間データを独自分析」
4. “埼玉って近い”は、理想上だけの話
「埼玉、意外と近いじゃん」
──そう思って引っ越す人は後を絶ちません。
でも現実には、
- 電車の本数が少ない
- 遅延が多い
- 乗り換えが遠い(特に新宿・池袋)
- ラッシュで身動きできない
これらが重なって、Googleマップには出てこないストレスを毎日味わうことになります。
常に余裕を持って1本早く。理想ダイヤは信じず、「10分遅れるかも」と考えて行動を。
毎日ムダな時間が発生するのが地味にストレスです。
まとめ:数字だけを信じると、通勤地獄が待っている
湘南新宿ライン・上野東京ラインは、たしかに速い電車です。
でも、それは「うまくいけば」の話。
- 本数の少なさ
- 遅延の多さ
- 接続の悪さ
これらを知らずに引っ越すと、数字と現実のギャップに苦しむことになります。
埼玉が“意外と近い”のは、数字の上だけ。
本当に近いかどうかは、「あなたが毎日通勤できるか」で決まるのです。