ネット銀行を使うほど、東京が得をする──見えない“お金の流れ”と、住む場所の価値の話

住まいと資産形成

スマホひとつでお金を動かせる時代。

ネット銀行、キャッシュレス決済、スマホ証券……
私たちはその便利さを、日々何気なく享受しています。

でも。

その“便利”の裏で、見逃してはいけない変化が起きていることを、知っていますか?


「ネット社会では、東京が得をする構造になっている」

2025年6月、総務省がある制度見直し案を発表しました。
それによって、あらためて明らかになったのが──

ネット社会では、東京が一人勝ちする仕組みができているという事実です。

そしてそれは、私たちの住む場所の価値すらも、静かに変え始めています。


税金まで、東京に集中する時代が来た

今回、総務省が問題視したのはこんな仕組み。

  • ネット銀行の多くは「東京に本店」がある
  • 利子にかかる住民税(利子割)は、銀行の本店所在地に納税される
  • 結果として、全国で使われていても税金は東京に集中している

つまり──
**地方に住んでいても、ネット銀行を使うだけで“税金だけが東京へ流れている”**のです。


📊 代表的なネット銀行と口座数(2023年時点)

銀行名推定口座数本店所在地
楽天銀行約1,400万口座東京
住信SBIネット銀行約600万口座東京
ソニー銀行約200万口座東京

見てのとおり、大手ネット銀行はすべて東京に本店があります。
これらの利子にかかる住民税が、どこに落ちるか──言うまでもありません。


総務省は動いた。でも、「流れ」は止まらない

この不公平感に対して、総務省はようやく動きました。

「再配分制度」の導入を検討開始。
所得税や所得水準に応じて、都道府県間で税収を調整する案です。

ただし、これはあくまで“応急処置”。

根本にあるのはこうです:

ネット経済は、東京に利益が集まる構造そのもの
→ 利便性が進めば進むほど、「東京一極集中」は加速する


📈 2022年・東京都の所得税収データ(出典:国税庁)

  • 東京都の所得税収:約2.4兆円
  • 全国シェア:約19%
  • 東京都の人口シェア:約10%

この差が示すのは──
明らかに、「東京にお金が集中している」という構造的な事実です。


地方は今、何と戦っているのか

一方、地方では人口減少とともに税収が減少。
その結果、こんな課題が浮き彫りになっています。

  • 水道管の老朽化(全国の約15%が40年以上使用)
     → 特に地方ほど更新が遅れている
  • 2025年問題(団塊世代がすべて後期高齢者に)
     → 医療・介護などの社会保障費が急増
  • 公共交通や行政サービスの維持が困難に
     → 財政破綻予備軍の自治体も

「地方は家賃が安くてのんびり」なんていう幻想は、
これから少しずつ通用しなくなっていきます。


結論:ネット社会が進むほど、東京に住む合理性は増していく

もちろん、東京に住むことにはデメリットもあります。

  • 家賃が高い
  • 通勤が混む
  • 自然が少ない

でも、その反面、得られるものも大きいのです。

東京が持つ“見えないアドバンテージ”

  • インフラの安定性
  • 教育機会の多さ
  • 雇用・起業の選択肢
  • 税金の使われ方が見えやすい
  • 社会保障・行政サービスの「余力」

そして、今回のネット銀行税制問題が象徴するように、

ネットを使えば使うほど、東京に利益が蓄積されていく構造は今後も変わらないでしょう。


まとめ:未来の暮らしに“構造的な得”を取り入れる

これからの時代は、ライフスタイルや住環境の心地よさだけではなく、

「お金の流れ」や「行政の余力」まで考慮した“合理的な住む場所選び”

が必要になってきます。


東京という都市には、
デジタル社会の追い風が、確実に吹いています。

その風に、どう乗るか?

それもまた、未来の暮らしを整えるためのひとつの戦略だと思うのです。

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