クロケット&ジョーンズ「オードリー3」レビュー
高級革靴。
たぶん、普通の人から見たらただの黒い靴です。
でも僕は、その「ただの黒い靴」に10万円払いました。
「いやいや、気でも狂ったの?」
そう思われても仕方ない。
でも今ならはっきり言えます。
この靴は、人生を整えてくれる“相棒”になった。
これは、そんな僕と革靴の物語です。
買うまでの1ヶ月、ずっと悩み続けた
出会いは、クロケット&ジョーンズの「オードリー3」。
店頭で初めて見たときの感想は、正直こんなもんでした。
「え、これで10万?普通すぎない?」
(※2025年2月時点の定価:148,500円)
ツヤのある黒のストレートチップ。
見た目は、どこにでもあるような“ザ・ビジネスシューズ”。
でも──なんか、気になる。
革の質感、控えめだけど品のあるフォルム、丁寧な作り込み。
見れば見るほど、じわじわと魅了されていく。
そこから、迷走の日々の始まりです。
何度もお店に通い、試着して鏡を眺め、
家に帰ってはレビュー記事を読み漁る。
でも「これに10万円の価値、本当にあるのか…?」という思いは拭えず。
これ以上悩んでもわからない。もう決めるしかない。
清水の舞台から飛び降りる覚悟で購入しました。
あのときの自分に、今ならこう言えます。
よくやった。あれは、最高の決断だった。
履いた瞬間、わかる。“ただの靴じゃない”
初めて足を入れた瞬間、驚きました。
吸い付くようなフィット感。
ガチッとしているのに痛くない。不思議と足に馴染む感覚。
正直、「高かったから良く感じてるだけかも」と疑いもありました。
でも履くたびにその疑念は消え、確信へ変わっていきます。
ああ、これは“本物”なんだ。
履くほどに馴染み、ついにスニーカー超え
数ヶ月が経った頃──革が驚くほど足に馴染んできました。
硬さが消え、しなやかさが増していく。
今では、スニーカーより快適と感じるほど。
(妻には「絶対ウソでしょ」と言われますが、これガチ)
足と靴が一体化したような感覚。
これは、安い靴ではまず味わえない世界だと思います。
手入れしたくなる。育てたくなる
以前は、1、2ヶ月ほったらかしで革靴が汚れが目立ってきたら磨く程度。
しかし、この靴を履き始めてから、毎晩の習慣がひとつ増えました。
帰宅後、まずは靴のブラッシング。
たったそれだけ。でも、それだけで上品に輝く。妙に心が落ち着く。
そして気づいたんです。
磨けば磨くほど、革は美しくなる。
ギラついた光ではなく、
革の奥からにじむような、深みのある艶。
これが「革の質」なんだと実感しました。
修理して履き続ける。だから“10万円”が意味を持つ
昔は、1〜2万円の革靴を1〜2年で使い潰していました。
でも高級靴は違う。
- グッドイヤーウェルト製法でソール交換が可能
- 上質な革だから、履くほど味が出る
- デザインが流行に左右されない“定番”
しかも、足のサイズはそう簡単に変わらない。
ちなみに3万円台の靴でも修理はできますが、
ソール交換で2万円前後かかると「それなら買い替えるか…」となりがち。
だからこそ最初から「直して履く前提の靴」を選ぶのが正解だったんだと思います。
4年履いた今、新品よりも好きになった
この「オードリー3」、履き始めてから4年(下記画像)が経ちました。
4年経過したものとは思えないですよね?

でも驚くほど、今のほうが好きなんです。
新品のピカピカ感とは違って、革に深みが出て、艶も落ち着いた。
仮に「新品に取り替えてあげる」と言われても、
僕は今のこの靴を選ぶでしょう。
理由はひとつ。
足に馴染んでいるから。
「古くなった=劣化した」じゃない。
これは“経年劣化”じゃなくて、“経年変化”です。
一緒に歩いた、大切な時間たち
この靴と一緒に過ごした4年間。
実は、いくつもの人生の節目を共にしてきました。
子どもの卒業式、入学式。
会社での大切なプレゼンや役員報告。
親族の集まりや、かしこまった場への出席。
どれも忘れられない時間。そして、その場に必ずいたのがこの靴でした。
足元を整えると、不思議と気持ちも整う。
「よし、やるぞ」と背筋を伸ばしてくれる存在。
気づけば僕は、この靴に“勝負服”以上の信頼を置くようになっていました。
靴にふさわしい自分になりたい。そう思った
この靴を履くようになってから、自然と服にも気を配るようになりました。
「この靴に合うパンツは何だろう」
「この革の質感を引き立てるシャツは?」
そんなふうに、いままで無頓着だったファッション全体に目が向いたんです。
「おしゃれは足元から」
昔はただの言い回しだと思っていましたが、
今ならわかります。あれ、冗談じゃなかった。
最後に:これは“変態”の世界。でも、だから面白い
正直、革靴に10万円を出すなんて、変態の所業だと思っていました。
でも、だからこそ普通の人には見えない景色がある。
- 革の表情を語れるようになる
- 他人の靴に自然と目がいく
- 綺麗に履いている人と、靴トークで盛り上がれる
意外と、同じ“革靴変態”は身近にいるものです。
まとめ:この靴と、どこまで歩いていけるか楽しみだ
人生で初めて、「モノと一緒に歳をとっていきたい」と思いました。
クロケット&ジョーンズ「オードリー3」。
たかが靴。されど靴。
でも確かに、この靴は僕の暮らしと価値観を変えてくれました。
ちなみに、「自分も本物の革靴を履いてみたい」と思った方へ。
クロケット&ジョーンズ「オードリー3」は、楽天市場でも購入できます。
※人気商品のため在庫には変動があります。購入前にショップの評価や正規品の記載を必ずご確認ください。
迷っている人へ、ひとつだけ伝えたい。
答えが出ないなら、飛び込んでみてください。
その先には、きっとあなた自身も驚くような世界が待っています。
そして、気づけばあなたも──
革靴沼の住人になっているかもしれません。